なぜトラックドライバーは減るのか

なぜトラックドライバーは減るのか
トラックドライバーが減る原因

株価も上がり、企業の売り上げは上昇傾向にあるだけでなく、ネットショッピングの普及もあり、輸送量はかなり増えています。ところが、トラックドライバーは常に不足気味で、ドライバー不足はかなり深刻です。この原因の多くにはドライバーの高齢化が大きく関係しています。トラック運送に関しては規制緩和以降、多くの業者が新規参入を行いました。本来であればそれによって人が大きく増えるはずでしたが、多くの業者が参入したことで競争は激しくなり、薄利多売のような状態になってしまい、それがしんどい状況を生み出しています。

薄利多売ということはそれだけたくさんの輸送をこなさなければならないだけでなく、年収もそれなりに減ってしまいます。結果的にドライバーの年収は減り、少しでも多くの年収にしようと別の業種へ転身を図る人が増え、運転手の数は一向に増えない状況となっています。この状態で長く続いただけでなく、高齢化も激しくなったことも要因です。40代以上のトラックドライバーばかりになってしまい、辞めるに辞められない人たちが増え、新規にドライバーになろうとする若者などがわざわざ選ばないような業種になっているのが現実です。

この動きとは逆行するようにネットショッピング、オンライン通販の世界はかなり好調であり、ちょっとした小物でも輸送によって運ばれるようになり、配送量は年々増えています。首都圏であれば注文した当日に商品を運んでもらえるような形になっており、さらに激務の状況を生んでいる状態です。トラックドライバーはそれだけ長く拘束されるものの、賃金としては全然もらっていない状況なので、労働環境は過酷なのにそれに見合ったものはもらえないというのが現実です。これでは長く働こうと思う人は出てきません。



近年さらに深刻にさせる問題が若者の車離れです。

若者の所得が低下したり、車に対する関心が低かったりすることで車の取得はもちろん、免許すら取得しない若者が増えています。以前のようにトラックに対する憧れが強かったり、とラックドライバーの映画があったりしましたが、今ではそのようなものは少なく、憧れを持つ機会が少なくなりました。車に乗る人がそもそも少なくなっていく中でわざわざトラックドライバーになる必要もないとなれば、無視される存在になっていくのは仕方のないことです。

一方でドライバー不足を打破する動きも出ています。それが免許改正の動きです。2017年に準中型免許というものが追加されました。本来の運転免許は18歳から取得できますが、中型免許は20歳にならなければゲットできないものでした。これは今までの普通免許で4トンのトラックに乗れてしまい、教習所で習っていないレベルの車に簡単に乗れてしまい、事故につながりやすいという背景があったためです。安全性を確保するために中型免許を創設した結果、人手不足を加速させることになったため、その改善策が問われてきました。

結果的に準中型免許の登場である程度ドライバー不足は解消されるはずでしたが、結局それでも解消するには至っていません。1990年に規制緩和がなされたことで賃金低下につながった影響が非常に大きく、免許改正でなんとか案税を確保しながらドライバーを確保しようとしたものの、賃金低下の改善させるような動きにはつながっていません。人気がない業種は賃金を上げて確保する動きがあるものですが、それすらもできない状況にあるのが現在の物流業界というわけです。

収入が少なければ若者も夢を抱けないのは当然であり、まして過酷な労働にそぐわない低賃金ではいけません。利用する側に負担を求めていかない限りはこの構造は解消されるとは言えないはずです。